4月25・26日に中国上海で開催されたSIO(Society for Integrative Oncology:統合腫瘍学会)上海国際シンポジウムには、中国伝統医学に欧米からも熱い視線が注がれました。当シンポジウムの主催は、SIO本部とアメリカのガン研究のトップ、MD Anderson Cancer Center、地元中国の上海がんセンターにあたる中国 上海復旦大学附属腫瘍病院 国際統合医療がんセンターです。
中国国内はもとより、アジア地域(韓国、台湾、香港、日本)、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダからもガン研究のトップックラスが集いました。とりわけアメリカは、主催のMD Anderson Cancer Centerを筆頭に、ハーバード・メディカル・スクール、エール大学、デユーク大学、スタンフォード大学、メイヨー・クリニック、ジョージタウン大学、コロンビア大学、インディアナ州立大学、スローン・ケタリングがんセンター、ダナフェイバーがん研究所など、錚々たるメンバーが乗り込みました。
以下、SIO 上海国際シンポジウムの日本事務局長である赤星氏の報告から抜粋です。
「今回の大会は、中医(伝統的中国医学:漢方)のがん治療の研究だけでなく、遺伝子技術のがん治療及び幅広い範囲でがんの治療論文が発表され、論議されました。また国際共同研究を通じて、中医を含む統合医療的がん治療の有効性、安全性、さらに可能性の研究と評価が発表、討議されました。特に中医のがん治療の有効性が充分に認識されました。今後、既存の西洋医学のがん治療に中医等伝統的治療を加えて、多彩で新しい統合的がん治療が樹立することが期待されています。
今回は、世界から西洋医学のトップが参加し、非常に意義ある大会でした。西洋医学に中医など代替医療を加えた統合医療によって、がんの根治や予防、健康維持・増進などを目指したものでした。特に米国の中医に対する期待は高く、NIH(アメリカ国立衛生研究所)の予算3兆円のうち、中医には2,000億円が割り当てられています。がんに関しては、西洋医学だけでは治療が困難という認識が高まっているようです。NIHは中国との共同研究に予算を投入もしています」
中国側の主催者の代表 上海復旦大学附属腫瘍病院 劉魯明教授はアメリカとの共同研究の中心人物です。劉教授は西洋医学と中医を併用したガン治療チームの責任者であり、カイジという抗ガン漢方の研究でも各国の研究者から注目されています。